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2025/09/02
筋肉を増やしたい人必見!効率的なトレーニングと食事で理想の体を作る増量法
筋肉を増やしたい人必見!効率的なトレーニングと食事で理想の体を作る増量法
▪健康運動指導士 ▪FCM技能士2級
▪JATI上級トレーニング指導者
▪加圧スペシャルインストラクター 等
病院併設の健康増進施設に現場責任者として従事し、2021年にパーソナルジムARCSを設立
みなさんこんにちは。
パーソナルジムARCSの塚本です。
「もっと筋肉をつけて、たくましい体になりたい」
「華奢な体型を卒業して、自信の持てるフィジークを手に入れたい」
「スポーツのパフォーマンスを向上させるために、フィジカルを根本から強化したい」
もしあなたがそう願うなら、今回のテーマである「増量」は、その夢を実現するための最も確実で効果的なルートです。
しかし、多くの人が「増量」という言葉に誤解を抱いています。「ただたくさん食べればいい」「がむしゃらに筋トレすれば筋肉はつく」——これらは、増量を失敗に導く典型的な勘違いです。間違った増量は、筋肉ではなく不要な脂肪を増やすだけで、理想の体からは遠ざかってしまいます。それどころか、健康を害するリスクさえはらんでいるのです。
この記事では、科学的根拠に基づいた「正しい増量法」を、初心者の方でも実践できるよう、体系的かつ徹底的に解説します。単に体重という数字を増やすのではなく、質の高い筋肉を効率的に増やし、理想の体を作り上げるためのロードマップです。
具体的には、筋肉がつく基本的なメカニズムから、あなたの目標達成を加速させるトレーニング戦略、そして増量の成功の8割を占めるとも言われる食事術まで、あらゆる角度から深掘りしていきます。特に、増量の鍵となる「カロリー」の考え方については、具体的な計算方法から摂取の仕方まで、詳細に解説します。
あなたの現在の体重や活動レベルに応じた適切なカロリー設定を知ることは、成功への第一歩です。
なぜ増量が必要なのか?筋肉をつけるための基本原則
まず、私たちの筋肉がどのようにして大きくなるのか、その基本的なメカニズムから理解する必要があります。この現象は「筋肥大」と呼ばれ、全てのトレーニングの根幹をなす概念です。
筋肉が大きくなるメカニズム:「筋肥大」の真実
筋肉は、非常に細い「筋線維」という細胞の束で構成されています。私たちがダンベルを持ち上げたり、スクワットをしたりといった高強度のトレーニングを行うと、これらの筋線維に微細な傷がつきます。
これは「マイクロトラウマ」と呼ばれ、決して悪いものではありません。むしろ、これが成長の合図となるのです。
トレーニングによって傷ついた筋線維は、休息と栄養補給の過程で修復されます。
この時、体は「次に同じような強い刺激が来ても耐えられるように」と、以前よりも少しだけ太く、そして強く筋線維を修復しようとします。
この「損傷→修復→強化」のサイクルが繰り返されることで、筋線維一本一本が徐々に太くなり、結果として筋肉全体の断面積が増加し、見た目にも大きく、力強い筋肉が作られていくのです。
これが筋肥大の正体です。
成功の絶対条件:「消費カロリー < 摂取カロリー」の法則
さて、ここで最も重要な原則が登場します。それが「カロリー収支」の考え方です。カロリー収支とは、1日あたりの「摂取カロリー」と「消費カロリー」の差のことです。私たちの体重は、このカロリー収支によって増減します。
・摂取カロリー > 消費カロリー(オーバーカロリー): 体内にエネルギーが余っている状態。体重は増加する。
・摂取カロリー < 消費カロリー(アンダーカロリー): 体内のエネルギーが不足している状態。体重は減少する。
・摂取カロリー = 消費カロリー(メンテナンスカロリー): エネルギーの収支が釣り合っている状態。体重は維持される。
ダイエットや減量について語られる際、「消費カロリーを増やし、摂取カロリーを減らす」ことが鉄則だと聞いたことがあるでしょう。
これはアンダーカロリーの状態を作り出し、体重を落とすための正しいアプローチです。
しかし、筋肉を増やしたい場合、この法則は真逆になります。つまり、「摂取カロリー > 消費カロリー」というオーバーカロリーの状態を作り出すことが、増量の絶対条件となるのです。
なぜでしょうか?先ほど説明した筋肥大のプロセス、つまり傷ついた筋線維を修復し、さらに太く作り変えるという作業は、体にとって非常にエネルギーを消費する「建設作業」です。
この建設作業には、大量の「資材(栄養素)」と「作業員を動かすエネルギー(カロリー)」が必要不可欠です。
もし体がアンダーカロリーの状態、つまりエネルギーが不足している状態であれば、体は生命維持を最優先します。新しい筋肉を作るというエネルギーのかかる建設作業どころか、既存の筋肉を分解してエネルギー源として使ってしまう(カタボリック)ことさえあります。これでは、どれだけハードなトレーニングをしても筋肉は増えません。
したがって、筋肉という名の建物を大きく、立派に建て替えるためには、建設に必要なエネルギー(カロリー)を十分に、甚至少し余分に供給してあげる必要があるのです。
この余剰分のカロリーが、筋肥大を強力にサポートし、あなたの体重(筋肉量)を増やしていく原動力となります。適切なカロリー管理こそが、増量期の体重コントロールの鍵を握るのです。増量期の体重増加のペースは、この余剰カロリーの量に大きく左右されます。
増量と「ただ太る」ことの決定的な違い
「オーバーカロリーにすればいいなら、好きなものを好きなだけ食べれば体重が増えて成功するのでは?」と考えるかもしれません。しかし、これは増量における最も危険な落とし穴です。
確かに、ジャンクフードやお菓子、揚げ物などを大量に食べれば、摂取カロリーは簡単に増え、体重も急激に増加するでしょう。
しかし、その増えた体重の内訳はどうなっているでしょうか?そのほとんどが、筋肉ではなく体脂肪です。このような増量法は「ダーティバルク」と呼ばれ、目指すべき姿ではありません。
私たちの体が1日に合成できる筋肉の量には限りがあります。それを超える過剰なカロリーは、行き場を失い、そのほとんどが体脂肪として蓄積されてしまいます。これでは、ただの「肥満」への道を突き進んでいるに過ぎません。
真の増量、私たちが目指すべき「クリーンバルク」とは、体脂肪の増加を可能な限り最小限に抑えながら、筋肉量を最大化することです。
そのためには、摂取するカロリーの「量」だけでなく、「質」と「タイミング」を徹底的に管理する必要があります。つまり、PFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)の整った食事から、計画的にオーバーカロリー状態を作り出し、適切なペースで体重を増やしていくことが求められるのです。
下記の記事では約二か月間トレーニングと食事サポートを実施し筋肉量を上げていった事例となります!
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筋肉を増やすためのトレーニングの考え方
オーバーカロリーという土台が整ったら、次はそのエネルギーを筋肉作りに向かわせるための「指令」を出す必要があります。その指令こそが、ウエイトトレーニングです。ここでは、増量期のトレーニングをいかに効率的に進めるか、その考え方と具体的な方法を解説します。
筋肥大をドライブする最重要原則:「漸進性過負荷の原則」
まず、トレーニングで結果を出し続けるために絶対に理解しておくべき大原則があります。それが「漸進性過負荷の原則(Progressive Overload)」です。
これは、「筋肉を成長させ続けるためには、常に今よりも少し強い刺激(負荷)を与え続けなければならない」という原則です。
私たちの体は非常に賢く、環境に適応する能力を持っています。例えば、毎回50kgのベンチプレスを10回行うトレーニングを続けていると、最初はきつくても、体はやがてその負荷に適応し、楽にこなせるようになります。楽にこなせるようになったということは、その負荷が筋肉にとって「成長する必要のある刺激」ではなくなったことを意味します。その状態で同じトレーニングを続けても、筋肉はそれ以上成長しようとはしません。
そこで必要になるのが、負荷を「漸進的に(少しずつ)」増やしていくことです。負荷を増やす方法はいくつかあります。
1.重量(Intensity)を増やす:
最も基本的な方法です。50kgで10回できるようになったら、次は52.5kgに挑戦する、というように使用重量を増やしていきます。体重が増加し、筋力が向上するにつれて、扱える重量も伸びていくはずです。
2.回数(Reps)を増やす:
同じ重量でも、こなす回数を増やします。50kgで10回が限界だったところを、11回、12回と増やしていくことで、筋肉にかかる総負荷量を高めます。
3.セット数(Sets)を増やす:
3セット行っていたトレーニングを4セットに増やすなど、全体のボリューム(総負荷量)を増やします。
4.トレーニング頻度(Frequency)を増やす:
特定の部位を週に1回から2回に増やすなど、刺激を与える頻度を高めます。ただし、休息とのバランスが非常に重要です。
5.休憩時間(Rest)を短くする:
セット間のインターバルを短くすることで、筋肉を追い込み、代謝ストレスを高めることができます。
これらの要素を組み合わせ、常に「前回の自分を超える」ことを目指すのが漸進性過負荷の原則です。トレーニング記録をつけることは、この原則を実践する上で非常に有効です。記録があれば、前回のトレーニング内容を正確に把握し、次回の目標を具体的に設定することができます。この地道な積み重ねが、停滞を打破し、継続的な筋成長を可能にするのです。体重が増えていく過程で、扱える重量が増えていく喜びは、トレーニングの大きなモチベーションになるでしょう。
筋肥大に最適!重量・回数・セット数の設定方法
「一体、何kgの重さで何回やれば筋肉は一番つくのか?」これは多くのトレーニーが抱く疑問です。
筋肥大を目的とする場合、一般的に「8回~12回で限界(RM = Repetition Maximum)を迎える重量設定」が最も効果的であると言われています。
・高重量・低回数(1~6回): 主に筋力(扱える最大重量)の向上に効果的です。神経系の発達を促し、パワーを高めます。筋肥大にも効果はありますが、中回数ほどの効率はありません。
・中重量・中~高回数(8~12回): 筋肥大に最も効果的な範囲とされています。物理的な刺激(メカニカルテンション)と化学的な刺激(代謝ストレス)のバランスが良く、筋線維の成長を効率的に促します。
・低重量・高回数(15回以上): 主に筋持久力の向上に効果的です。筋肉中の毛細血管を発達させたり、遅筋線維を刺激したりする効果が期待できます。
増量期においては、メインのトレーニングを8~12回の範囲で組み、時折、筋力向上のために高重量・低回数の種目を取り入れたり、最後の追い込みとして低重量・高回数の種目を加えたりするのが王道のプログラムです。
例えば、ベンチプレスであれば、
1セット目:ウォーミングアップ
2セット目:8~12回できる重量で限界まで
3セット目:同上
4セット目:同上
という形が基本になります。もし3セット全てで12回以上できるようになったら、次回から重量を少し上げる(漸進性過負荷)というサイクルです。セット数は、主要な種目であれば3~5セット行うのが一般的です。
全身を効率よく鍛える!「BIG3」と分割法(スプリットルーティン)
限られた時間の中で、全身の筋肉を効率よく発達させるためには、どの種目を優先的に行うかが重要になります。
増量期に特に優先すべきは、一度に多くの筋肉を動員する「コンパウンド種目(多関節種目)」です。
その中でも特に重要なのが、「BIG3」と呼ばれる3つの種目です。
1.スクワット(脚・尻): 「キング・オブ・エクササイズ」とも呼ばれ、下半身全体(大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋)から体幹まで、全身を強力に刺激します。
2.ベンチプレス(胸・肩・腕): 上半身の押す筋肉(大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋)を総合的に鍛えることができます。
3.デッドリフト(背中・脚・尻): 背中(脊柱起立筋、広背筋)、下半身(ハムストリングス、大殿筋)、腕、体幹と、体の中で最も多くの筋肉を動員する種目の一つです。
これらのBIG3は、多くの筋肉を同時に使うため、単一の筋肉を鍛えるアイソレーション種目(例:アームカール)よりも、成長ホルモンなどの分泌を促しやすく、全身の筋肥大に非常に効果的です。
また、高重量を扱いやすいため、漸進性過負荷の原則を適用しやすいというメリットもあります。
トレーニングプログラムは、このBIG3を軸に組み立てるのが成功への近道です。適切なフォームを習得することが最優先なので、初めは軽い体重やバーだけで練習し、専門家の指導を仰ぐことも検討しましょう。
そして、全身を効率よく、かつ十分に回復させながら鍛えるために「分割法(スプリットルーティン)」という考え方を取り入れます。これは、トレーニング日ごとに鍛える部位を分ける方法です。
分割法の例:
・2分割: 上半身の日 / 下半身の日
・3分割: 押す日(胸・肩・三頭筋) / 引く日(背中・二頭筋) / 脚の日
・4分割: 胸の日 / 背中の日 / 肩の日 / 脚・腕の日
例えば3分割の場合、
・月曜日:押す日
・火曜日:引く日
・水曜日:休息
・木曜日:脚の日
・金曜日:休息
・土曜日:押す日
・日曜日:引く日
というようにローテーションを組むことで、各部位に十分な刺激を与えつつ、次のトレーニングまでに48時間~72時間の回復期間を確保することができます。
筋肉はトレーニング中にではなく、休息中に成長します。オーバーワークは成長を妨げるだけでなく、怪我のリスクも高めるため、適切な休息日を設けることは、トレーニングそのものと同じくらい重要です。自分のライフスタイルや回復力に合わせて、最適な分割法を見つけましょう。この期間中は、適切なカロリー摂取と並行して、体重の推移をモニタリングすることが不可欠です。
1人だと続かなそうだなと心配な方こそパーソナルトレーニングがおすすめです!
パーソナルトレーニング|牛久市・つくば市・みらい平でパーソナルトレーニングジムはARCSへ
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増量期の食事術!筋肉をつけながら脂肪を最小限に抑える方法
トレーニングが筋肉を作るための「指令」だとしたら、食事は筋肉を作るための「材料」と「エネルギー」を供給する、まさに生命線です。増量の成否は食事が8割、と言われるほど重要であり、ここを疎かにしては絶対に成功はありません。このセクションでは、筋肉を最大化し、脂肪を最小化するための具体的な食事戦略を、数字も交えて徹底的に解説します。鍵となるのは、やはり「カロリー」と「PFCバランス」です。
STEP1: あなたの「増量期に必要な摂取カロリー」を計算する
まず、自分が1日にどれくらいのカロリーを摂取すればいいのかを知ることから始めましょう。これは以下の3ステップで計算できます。
1. 基礎代謝量(BMR)を計算する
基礎代謝量とは、心臓を動かしたり、呼吸をしたり、体温を維持したりと、生命維持に最低限必要なエネルギー(カロリー)のことです。
ハリス・ベネディクト方程式(改良版)がよく用いられます。
男性: 13.397 × 体重(kg) + 4.799 × 身長(cm) - 5.677 × 年齢 + 88.362
女性: 9.247 × 体重(kg) + 3.098 × 身長(cm) - 4.330 × 年齢 + 447.593
例: 体重70kg、身長175cm、30歳の男性の場合 13.397 × 70 + 4.799 × 175 - 5.677 × 30 + 88.362 = 937.79 + 839.825 - 170.31 + 88.362 = 約1700 kcal
これが、何もしなくても消費されるカロリーです。
2. 1日の総消費カロリー(TDEE)を計算する
次に、基礎代謝量にあなたの活動レベルを掛け合わせて、1日の総消費カロリー(TDEE: Total Daily Energy Expenditure)を算出します。
活動レベルが低い(デスクワーク中心、運動習慣なし): BMR × 1.2
活動レベルが普通(週1~3回の軽い運動): BMR × 1.375
活動レベルが中程度(週3~5回の中程度の運動): BMR × 1.55
活動レベルが高い(週6~7回の激しい運動): BMR × 1.725
活動レベルが非常に高い(肉体労働+激しい運動): BMR × 1.9
例: 上記の男性が週4回ジムでトレーニングする場合(活動レベル中程度) 1700 kcal (BMR) × 1.55 = 約2635 kcal
この2635 kcalが、彼の体重を維持するために必要なカロリー(メンテナンスカロリー)の目安となります。
3. 増量期の目標摂取カロリーを設定する
筋肉を増やすためには、このTDEEに上乗せしたカロリーを摂取する必要があります。この上乗せ分が、筋肥大のエネルギー源となります。
目標摂取カロリー = TDEE + 300~500 kcal
上乗せするカロリーが多すぎると体脂肪になりやすく、少なすぎると筋肥大の効率が落ちます。まずは+300~500 kcalから始めるのが、クリーンバルクのセオリーです。
例: 上記の男性の場合 2635 kcal + 500 kcal = 約3135 kcal
これが、彼が増量期に毎日摂取すべき目標カロリーとなります。まずはこの数値を基準に食事を組み立て体重の増え方(週に体重の0.5%~1%程度の増加が理想)を見ながら、摂取カロリーを微調整していきます。
STEP2: 筋肉の材料「PFCバランス」を最適化する
目標摂取カロリーが決まったら、次はそのカロリーをどのような栄養素から摂取するか、その内訳(PFCバランス)を考えます。PFCとは、三大栄養素であるタンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の頭文字です。
1. タンパク質(Protein): 筋肉の主原料 言わずもがな、筋肉の材料となる最も重要な栄養素です。トレーニングで傷ついた筋線維を修復し、より太くするためには、十分な量のタンパク質が不可欠です。
摂取量の目安: 体重1kgあたり 1.6g ~ 2.2g
カロリー: 1gあたり 4 kcal
例: 体重70kgの男性の場合 70kg × 2.0g = 140g 140g × 4 kcal = 560 kcal をタンパク質から摂取
良質なタンパク源: 鶏胸肉、ささみ、牛赤身肉、魚(鮭、マグロ)、卵、乳製品(ギリシャヨーグルト、カッテージチーズ)、大豆製品、プロテインパウダー
2. 脂質(Fat): ホルモン生成と細胞の健康を司る 脂質はカロリーが高い(1gあたり9kcal)ため敬遠されがちですが、筋肉の成長に欠かせないテストステロンなどのホルモンの材料となったり、細胞膜を構成したりと、非常に重要な役割を担っています。良質な脂質を適量摂ることが、健康的な増量の鍵です。
摂取量の目安: 総摂取カロリーの 20% ~ 25%
カロリー: 1gあたり 9 kcal
例: 目標摂取カロリーが3135 kcalの場合 3135 kcal × 20% = 627 kcal 627 kcal ÷ 9 kcal/g = 約70g を脂質から摂取
良質な脂質源: アボカド、ナッツ類(アーモンド、くるみ)、オリーブオイル、魚油(青魚)、MCTオイル
3. 炭水化物(Carbohydrate): トレーニングのエネルギー源 炭水化物は、増量期において最も大量に摂取すべき栄養素です。その主な役割は以下の2つです。
トレーニングのエネルギー供給: 炭水化物は体内でグリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えられ、高強度のトレーニングを行う際の主要なエネルギー源となります。グリコーゲンが枯渇すると、力が出なくなり、トレーニングの質が低下します。
タンパク質の節約(プロテイン・スペアリング効果): 体内のエネルギーが十分にあると、体はタンパク質をエネルギーとして使うのではなく、本来の役割である筋肉の合成・修復に優先的に使ってくれます。
摂取量の目安: 総摂取カロリーから「タンパク質のカロリー」と「脂質のカロリー」を引いた残り全て
カロリー: 1gあたり 4 kcal
例: 3135 kcal (総摂取カロリー) - 560 kcal (タンパク質) - 627 kcal (脂質) = 1948 kcal 1948 kcal ÷ 4 kcal/g = 約487g を炭水化物から摂取
良質な炭水化物源: 玄米、白米、オートミール、全粒粉パン、パスタ、蕎麦、うどん、さつまいも、じゃがいも
PFCバランスのまとめ(体重70kg、目標3135 kcalの男性の例)
タンパク質: 140g (560 kcal)
脂質: 70g (627 kcal)
炭水化物: 487g (1948 kcal)
このPFCバランスを意識することで、摂取したカロリーが効率的に筋肉の合成に使われ、余分な脂肪の蓄積を防ぐことができます。
STEP3: 摂取のタイミングと回数を工夫する
いつ、どのように食べるかも、筋肥大の効果を大きく左右します。
1. 食事は1日5~6回に分ける
一度に大量に食事を摂ると、消化吸収の負担が大きくなり、栄養を効率的に吸収できません。また、血糖値の急激な上昇と下降は、体脂肪の蓄積につながりやすくなります。
3度の主要な食事に加え、2~3回の間食を挟み、1日を通してこまめに栄養補給をすることで、以下のようなメリットがあります。
血中アミノ酸濃度を常に高いレベルで維持し、筋肉の分解(カタボリック)を防ぎ、合成(アナボリック)を促進する。
消化吸収の効率を高める。
空腹感を防ぎ、ドカ食いを避けることができる。
間食には、プロテインシェイク、おにぎり、ナッツ、ヨーグルトなどが手軽でおすすめです。
2. トレーニング前後の栄養補給をゴールデンタイムと捉える
トレーニング前後の栄養摂取は特に重要です。
トレーニング前(1~2時間前): エネルギー源となる炭水化物(おにぎり、バナナなど)と、筋肉の分解を防ぐためのタンパク質(プロテインなど)を摂取します。
トレーニング後(できれば1時間以内): 筋肉の修復が最も活発になる「ゴールデンタイム」です。吸収の速い炭水化物(マルトデキストリン、白米など)とタンパク質(ホエイプロテインなど)を迅速に補給し、筋肉の回復と成長を最大限にサポートします。
この食事術を実践し、計画的にカロリーと栄養を摂取することが、あなたの体重を質の高い筋肉で増やしていくための最も確実な方法です。
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体重と体脂肪のコントロール:増量期にやってはいけないNG行動
「とにかく体重を増やせばいい」「摂取カロリーが消費カロリーを上回れば何でもOK」という考えは、増量を失敗に導く危険な罠です。ここでは、質の高い増量を実現するために、絶対に避けるべきNG行動と、体重と体脂肪を賢くコントロールするための考え方について解説します
NG行動1: ジャンクフードでカロリーを稼ぐ「ダーティバルク」
増量期は多くのカロリーを摂取する必要があるため、手軽に高カロリーを摂取できるジャンクフード(ピザ、ハンバーガー、フライドポテトなど)やお菓子、菓子パンに頼りたくなる気持ちは分かります。しかし、これは最悪の選択です。
・体脂肪の急増: これらの食品は、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、単純糖質を非常に多く含んでいます。
これらはインスリンの過剰分泌を招き、摂取したカロリーが筋肉ではなく、体脂肪として蓄積されやすくなります。結果として、体重は増えても、鏡に映るのはたるんだ体、ということになりかねません。
・栄養バランスの悪化: 高カロリーではあっても、筋肉の成長に必要なビタミンやミネラルなどの微量栄養素が決定的に不足しています。
体の機能を正常に保ち、筋肉を効率的に合成するためには、これらの栄養素が不可欠です。
・トレーニングパフォーマンスの低下: 栄養価の低い食事は、体内の炎症を引き起こしたり、消化にエネルギーを使いすぎたりして、倦怠感や集中力の低下を招きます。
これでは、質の高いトレーニングを行うことはできません。
・健康への悪影響: 言うまでもなく、長期的に見れば生活習慣病のリスクを高めます。
解決策: あくまでも「クリーンバルク」を徹底しましょう。米、オートミール、鶏肉、魚、野菜、良質な油といった、自然で栄養価の高い食材を中心に食事を組み立てることが、遠回りに見えて、理想の体への一番の近道です。適切なカロリー管理が、健康的な体重増加の鍵となります。
NG行動2: 急激なペースで体重を増やそうとする
「早く結果が欲しい」と焦るあまり、1ヶ月で5kg、10kgといった急激な体重増加を目指してしまう人がいます。
しかし、私たちの体が1ヶ月に合成できる純粋な筋肉量には限界があり、一般的には良くて0.5kg~1kg程度と言われています。
体重が月に2~3kg以上のペースで増えている場合、その増加分のほとんどは体脂肪と水分である可能性が非常に高いです。
急激に増えた脂肪は、後々の減量期に落とすのが大変になるだけでなく、インスリン感受性を低下させ、さらに脂肪がつきやすく、筋肉がつきにくい体質(栄養が筋肉ではなく脂肪に行き渡りやすい状態)を招く可能性があります。
・解決策: 体重の増加ペースを厳密にモニタリングしましょう。
・理想的な増加ペース: 1週間に体重の0.5%~1%程度、1ヶ月で体重の2%~3%程度。
例: 体重70kgの人なら、1ヶ月で1.4kg~2.1kgの増加が理想的な範囲。
・モニタリング方法: 毎朝、起床後トイレを済ませた同じ条件で体重を測定し、1週間の平均値で比較します。日々の水分量の変化で1~2kgの体重変動は起こるため、1日単位の数字に一喜一憂しないことが重要です。
もし体重の増加ペースが早すぎるなら、摂取カロリーを100~200kcalほど減らします。逆に、体重がなかなか増えない場合は、摂取カロリーを100~200kcal増やしてみましょう。
このように、自分の体の反応を見ながら摂取カロリーを微調整していくことが、クリーンバルクを成功させるための非常に重要なスキルです。
NG行動3: 有酸素運動を完全にやめてしまう
「増量期はカロリーを消費したくないから、有酸素運動は一切やるべきではない」というのも、よくある誤解です。
確かに、長時間のランニングなどの有酸素運動をやりすぎると、大量のカロリーを消費してしまい、オーバーカロリーの状態を維持するのが難しくなります。
また、オーバートレーニングに陥り、筋肉の分解(カタボリック)を促進してしまうリスクもあります。
しかし、適度な有酸素運動は、増量期において多くのメリットをもたらします。
心肺機能の維持・向上: 心肺機能が向上すると、ウエイトトレーニング中の息切れを防ぎ、セット間の回復を早めることができます。これにより、より強度の高いトレーニングが可能になります。
・インスリン感受性の維持: 有酸素運動は、インスリンの働きを良くする効果があります。インスリン感受性が高い状態を維持することで、摂取した栄養素(特に炭水化物)が脂肪細胞ではなく、筋細胞に効率よく取り込まれるようになります。
・食欲増進: 適度な運動は、食欲を増進させる効果も期待できます。増量期で食事がきついと感じる人にとっては、プラスに働くことがあります。
・解決策: 有酸素運動を戦略的に取り入れましょう。
・頻度と時間: 週に2~3回、1回あたり20~30分程度の軽い有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギング、サイクリングなど)で十分です。
・タイミング: ウエイトトレーニングとは別の日に設けるか、トレーニング後に行うのが良いでしょう。トレーニング前に行うと、エネルギーを消耗してしまい、メインのウエイトトレーニングの質が低下する可能性があります。
有酸素運動は「カロリー消費」のためではなく、「コンディション維持」のために行うと割り切ることが大切です。
NG行動4: 睡眠時間を削る
見落とされがちですが、睡眠不足は増量にとって致命的です。筋肉はトレーニング中に成長するのではなく、寝ている間に回復し、成長します。
・成長ホルモンの分泌低下: 筋肉の修復と成長に不可欠な成長ホルモンは、深い睡眠中(ノンレム睡眠)に最も多く分泌されます。睡眠時間が不足すると、この絶好の成長機会を逃してしまいます。
・筋肉の分解促進ホルモンの増加: 睡眠不足は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増加させます。コルチゾールは筋肉を分解する作用があるため、せっかくのトレーニング効果を相殺してしまいます。
・食欲の乱れ: 睡眠不足は、食欲を増進させるホルモン「グレリン」を増やし、食欲を抑制するホルモン「レプチン」を減らすことが分かっています。これにより、ジャンクフードへの渇望が高まるなど、食事管理が難しくなります。
・解決策: 毎日7~8時間の質の高い睡眠を確保することを、トレーニングや食事と同じくらい重要なタスクと位置づけましょう。寝る前のスマートフォン操作を控える、寝室の環境を整えるなど、睡眠の質を高める工夫をすることが、あなたの増量を強力に後押しします。
これらのNG行動を避け、正しいアプローチを継続することが、最終的にあなたの理想の体重と体型を実現させるのです。
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増量を成功させるマインドセットと習慣化のコツ
正しいトレーニング理論と食事法を学ぶことは、増量成功のための地図を手に入れるようなものです。しかし、実際に目的地にたどり着くためには、その地図を頼りに、日々着実に歩みを進める「継続力」が不可欠です。増量は数週間で終わる短期決戦ではなく、数ヶ月、時には年単位で取り組む長期プロジェクトです。ここでは、その長い道のりを乗り越え、目標を達成するためのマインドセットと習慣化のコツをお伝えします。
1. 長期的な視点を持ち、完璧主義を捨てる
筋肉の成長は、非常にゆっくりとしたプロセスです。1週間や2週間、必死に頑張ったからといって、鏡に映る姿が劇的に変わることはありません。この事実を受け入れ、短期的な結果に一喜一憂しないことが、まず何よりも重要です。
「先週よりベンチプレスの重量が伸びなかった」「今週は思ったように体重が増えなかった」——そんなことは日常茶飯事です。
そこで「自分には才能がないんだ」と落ち込んだり、諦めたりするのではなく、「こういうこともある。来週また頑張ろう」と気持ちを切り替えられるかどうかが、成功者と挫折者の分かれ道です。
また、「完璧主義」は継続の最大の敵です。仕事の付き合いで飲み会があったり、どうしてもトレーニングに行けない日があったりするのは当然のことです。
そこで「計画が崩れたから、もう全部終わりだ」と投げ出してしまうのではなく、「1食くらい乱れても大丈夫。明日からまた調整しよう」「1日トレーニングを休んだ分、しっかり体を回復させよう」と柔軟に考えることが大切です。
アクションプラン:
・目標設定は、1週間後ではなく、3ヶ月後、半年後、1年後といった長期的なスパンで考える。
・「100点満点」を目指すのではなく、「平均80点」を継続することを目指す。
2. 「記録」を最強のモチベーションパートナーにする
人間の記憶は曖昧で、感覚だけに頼っていると、自分の成長を正しく認識することは困難です。そこで絶大な効果を発揮するのが「記録」です。
・トレーニング記録:
・内容: 種目、使用重量、回数(レップ数)、セット数、インターバル
・メリット:
成長の可視化: 過去の記録と比べることで、「半年前は50kgしか上がらなかったのに、今は70kgでできるようになった」という具体的な成長を実感でき、これが圧倒的なモチベーションになります。
漸進性過負荷の実践: 前回の記録を超えるという明確な目標ができるため、毎回のトレーニングに目的意識が生まれます。
・食事記録:
・内容: 食べたもの、時間、おおよそのカロリーとPFCバランス
・メリット:
客観的な現状把握: 自分が設定した目標カロリーやPFCを実際に満たせているか、何が足りていないのかが一目瞭然になります。「食べているつもり」という感覚的なズレをなくせます。
問題点の発見: 体重が増えない時に、記録を見返すことで「タンパク質が足りていなかった」「思ったより総摂取カロリーが少なかった」といった原因究明が容易になります。
・身体の変化の記録:
・内容: 体重(毎日)、体の写真(週に1回、同じ角度・照明で)
・メリット:
客観的な変化の確認: 毎日の体重の小さな変動に惑わされず、長期的なトレンドを把握できます。また、写真は体重という数字だけでは分からない見た目の変化を捉えることができ、モチベーション維持に非常に効果的です。
記録は、面倒に感じるかもしれませんが、あなたの努力を裏切らない最も信頼できるパートナーです。スマートフォンアプリやノートなどを活用し、ぜひ習慣にしてください。
3. 環境を整え、「やらない理由」をなくす
意志の力だけに頼って行動を継続するのは非常に困難です。大切なのは、頑張らなくても自然と行動できる「環境」や「仕組み」を作ってしまうことです。
・食事の準備を仕組み化する:
・ミールプレップ: 週末など時間のある時に、数日分の食事(鶏肉を茹でておく、野菜を切っておく、米を炊いて小分け冷凍するなど)をまとめて準備しておきます。これにより、平日の忙しい時でも、考えずに健康的な食事にありつけます。
すぐに食べられるものを常備: プロテインパウダー、オートミール、冷凍のブロッコリーや鶏胸肉、おにぎり、ナッツなどを常にストックしておき、空腹時にジャンクフードに手が伸びるのを防ぎます。
・トレーニングを生活のルーティンに組み込む:
・ジムに行く曜日と時間を固定する: 「仕事が終わったら」「水曜の夜は」というように、カレンダーにあらかじめ「トレーニング」という予定をブロックしてしまいます。
ジムのバッグは常に準備しておく: 前日の夜にウェアやシューズを準備しておけば、朝起きて何も考えずにジムへ向かえます。「準備が面倒」という小さなハードルを取り除いてあげましょう。
4. プロセスそのものを楽しむ工夫をする
増量は時に、義務感や苦痛を伴うことがあります。特に食事が単調になったり、トレーニングがマンネリ化したりすると、モチベーションは低下しがちです。だからこそ、「楽しむ」工夫が重要になります。
・新しいトレーニング種目に挑戦する: いつも同じ種目ばかりではなく、時々新しい種目を取り入れてみましょう。新たな刺激が筋肉にも心にも良い影響を与えます。
・美味しい増量食のレシピを探求する: クリーンな食材でも、調理法やスパイスを工夫すれば、驚くほど美味しくなります。SNSや料理サイトで「高タンパク レシピ」「ヘルシー 増量飯」などと検索し、料理そのものを楽しんでみましょう。
・トレーニング仲間を見つける: 同じ目標を持つ仲間がいると、情報交換をしたり、励まし合ったりすることができ、辛い時期を乗り越える助けになります。
増量は、単に体重やカロリーの数字を追うゲームではありません。
自分自身の体と向き合い、知識を深め、規律を身につけ、心身ともに成長していく壮大な自己変革のプロセスです。その過程で得られる達成感や自信は、あなたの人生全体にとって計り知れない価値を持つはずです。
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まとめ
本記事では、「筋肉を増やし、理想の体を作る」という目標を達成するための、科学的かつ実践的な増量法について、網羅的に解説してきました。
増量の基本原則
効率的なトレーニング:
戦略的な食事術
避けるべきNG行動
成功のためのマインドセット
理想の体は、一朝一夕には手に入りません。
それは、正しい知識に基づいた日々の地道な努力の積み重ねによってのみ、築き上げられるものです。
この記事で得た知識を羅針盤として、今日から、いや、今この瞬間から、あなたの体を変えるための第一歩を踏み出してください。
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